ヘンリーネックは「ダサい」「おじさん」？近年のトレンドアイテム事情

シンプルでラフな印象のヘンリーネック。
かつてはカジュアルの定番でしたが、近年「おじさんっぽい」「肌着みたい」といったネガティブな意見を聞くこともあります。
しかし、ファッションの最前線では、ヘンリーネックは「大人のこなれ感」と「絶妙な抜け感」を演出するアイテムとして再評価され、多くのブランドが力を入れています。

なぜヘンリーネックは「ダサい」と言われてしまうのか？
そして、どうすれば2025年らしいトレンド感溢れる着こなしができるのか？

その秘訣を解説します。

1. ヘンリーネックが「ダサい」と言われる主な理由

ヘンリーネックの持つデザインの特性から、着こなしを間違えるとダサく見えてしまいます。

1. 「肌着」や「下着」のような見た目

これが最も大きな原因です。

• 薄い素材・ヨレた襟元: 生地がペラペラと薄く、襟元や袖がヨレていたりすると、一気にアンダーシャツやパジャマのような印象を与えてしまいます。特に白や薄いグレーなどの色は肌着に見えやすいです。
• タイトすぎるシルエット: 身体にピッタリとフィットしすぎたサイズ感は、下着っぽさや、過去の「ワイルド系ファッション」のイメージに直結し、現代のリラックス感を重視するトレンドから外れてしまいます。

2. 「おじさんファッション」のイメージ

• 着こなしの古さ: ヘンリーネックは昔からあるデザインのため、ボタンを全部閉めて着たり、ボトムスもチノパンや色落ちしたデニムなど、全体的にカジュアルで情報量が少ない組み合わせにすると、「おじさんが休日に着る服」という印象になりがちです。

3. ボタンの開け方とだらしなさ

• ボタン全開: ラフさを出そうとして、ボタンを全部開けすぎてしまうと、胸元が開きすぎてだらしなく見えたり、ワイルドすぎる印象になってしまい、清潔感を損なうことがあります。
• 着丈が長い: 着丈が長すぎるヘンリーネックをタックアウト（裾を出して）着ると、だらしなく見えたり、パジャマ感が強くなったりします。

全体的に清潔感・上品感がかけてしまうとダサく伝わってしまうかもしれません

2. ヘンリーネックが近年トレンドになっている理由

ネガティブなイメージを乗り越え、ヘンリーネックが再び注目されているのは、現在のファッションの流れに絶妙にマッチしているからです。

1. 「抜け感」と「リラックス感」トレンドへの合致

ここ数年のファッションの大きな流れとして、肩肘張らない「リラックス感」と、着こなしに余裕を感じさせる「抜け感」が重視されています。

• 絶妙な首元の開き: ヘンリーネックは、クルーネック（丸首）のように完全に閉じておらず、Vネックほど開きすぎない、適度な「間」があります。ボタンを1〜2個開けることで、色気を感じさせない、さりげない「抜け感」を簡単に演出できます。
• 「ラフシンプル」の追求: オーバーサイズすぎないリラックスフィットのヘンリーネックは、Tシャツよりも一枚で決まる、大人っぽく洗練された「ラフシンプル」なスタイルに最適です。

2. 多様な「レイヤード」スタイルへの順応性の高さ

着こなしの複雑化が進む中で、ヘンリーネックの「ボタン付き丸首」というデザインが、レイヤードのアクセントとして機能します。

• ジャケットのインナーとしての優秀さ: 襟付きのシャツではカッチリしすぎる、クルーネックでは単調になるという場合に、ヘンリーネックは程よいカジュアルダウンと首元のアクセントを提供します。秋冬のジャケットスタイルで重宝します。
• アウター・ベストとの相性: ベストやブルゾンなどのアウターと合わせた際、ボタンの前立てがさりげない縦のラインを作り、奥行きのあるコーディネートを可能にします。

3. 「定番アイテムの再評価とアップデート」の流れ

ベーシックなアイテムを、上質な素材や現代的なシルエットで再構築する動きがファッション業界全体で起きています。

• 素材へのこだわり: かつての「肌着感」を払拭するため、ヘビーウェイトのコットン、肉厚なワッフル、または上品なリブ素材など、一枚で主役になれる上質な素材が多くのブランドから提案されています。
• ヴィンテージリバイバル: 元々ボート競技のユニフォームやミリタリーウェア（ロシア軍のスリーピングシャツなど）に起源を持つヘンリーネックは、ヴィンテージブームの流れの中で、ディテールにこだわったタフなアイテムとして再評価されています。

4. 「ユニセックス」・「ジェンダーレス」な魅力

ヘンリーネックは、もともとメンズ寄りのアイテムでしたが、近年は女性にも広く浸透しています。

• 女性らしい抜け感: レディースでは、リブや薄手素材のヘンリーネックをボタンを多めに開けて着ることで、デコルテの華奢さと女性らしい抜け感を演出できると人気が拡大しました。
• 男女共通のアイテム: カジュアルな雰囲気と品の良さを両立できるため、ユニセックスなファッションが好まれる現在のトレンドにも合致しています。

「おじさん感」を回避する３つのコツ

トレンド感と大人の洗練された印象を両立させるポイントは、「素材」「シルエット」「着こなし」の3つです。

1.「上質な厚手素材」でインナー感を払拭

• 肉厚な生地を選ぶ: 薄い生地は肌着感が強調されます。ヘビーウェイトのコットンや、凹凸感のあるビッグワッフル、上質なリブ（テレコ）など、一枚でサマになる存在感のある素材を選んでください。
• カラーで差をつける: 白や生成り（きなり）は最も肌着に見えやすい色です。
  • ベーシック派: チャコール（濃いめのグレー）、ネイビー、スモーキーなカーキなど、落ち着いたニュアンスカラーを選びましょう。
  • 上級者派: マスタードやボルドーなどの深みのある色を差し色として取り入れるのもおしゃれです。

2.「ややゆとり」のあるシルエットを選ぶ

• リラックスフィットを意識: 身体にぴったりしすぎず、程よく肩が落ちる程度の「ややゆとり」のあるシルエットを選んでください。これにより、大人の余裕とリラックス感が生まれます。
• 袖丈に注意: 長袖の場合、袖を少しロールアップしたり、手首が見える丈にすることで、だらしなくならず、すっきりとした印象になります。

3.着こなしは「抜け感」と「アウター」を活用

ヘンリーネックの最大の魅力であるボタンを活用し、全体の印象を引き締めるのがコツです。

メンズの着こなしのコツ

• ボタンを開ける: 1～2個開けてデコルテを見せすぎない程度に「抜け感」を出すと、単なるTシャツとは違う、こなれたムードが生まれます。
• アウターを「ちょい足し」: ヘンリーネックを一枚着として不安な場合は、アウター（ジャケット、ブルゾン、カーディガン、ベスト）を羽織り、レイヤードのアクセントとしてヘンリーネックを見せる使い方が最もトレンド感があります。
• ボトムスとのメリハリ: ラフなヘンリーネックには、きれいめのスラックスやテーパードパンツなど、どこかクリーンな印象のボトムスを合わせることで、全身がラフになりすぎるのを防げます。

レディースの着こなしのコツ

• ボトムスはフェミニンに: フレアスカートやワイドパンツなど、ボリューム感のあるボトムスと合わせ、トップスはリブ素材で程よくフィットさせることで、バランスの取れた女性らしいカジュアルスタイルになります。

これらのポイントを意識すれば、ヘンリーネックを若々しく、洗練された大人のアイテムとして着こなすことができますよ。

4. 注目のおすすめ商品

ヘンリーネックに力を入れているブランドは、素材とディテールに徹底的にこだわっています。

BARNS OUTFITTERS

日本の技術を凝縮。
「小寸編み」や「フラットシーマー」など、ヴィンテージのディテールにこだわったタフで経年変化を楽しめる逸品。

NANO universe

カットソーだけでなくニット素材やバイカラーなどのデザイン性を高めたヘンリーネックを提案し、トレンドの着こなしに使える主役級アイテムとして展開。

Hanes

定番のアップデート。
ヘインズのタフさをベースに、シルエットをモダンに調整。
別注品は毎シーズン人気で、インナーとして最適。

TOM FORD

究極のミニマル。
上質なコットンやカシミア混素材を使用し、シンプルながらも洗練された大人のためのカットソーを提案。

まとめ

ヘンリーネックは、もはや「ダサい服」ではありません。
「大人の抜け感」と「シンプルさの中にこだわる上質さ」を表現できる、今の時代にぴったりのトレンドアイテムです。

選び方と着こなしのコツさえ押さえれば、いつものカジュアルスタイルを格上げしてくれること間違いなし。
ぜひ、この機会に上質なヘンリーネックを取り入れ、洗練された大人の着こなしを楽しんでみてください。